縄文文化

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私のおすすめ!縄文文化

岡田 康博

青森県世界文化遺産登録推進室長

青森県弘前市出身。弘前大学を卒業後、青森県庁に入庁。1992年から三内丸山遺跡発掘調査責任者に就任、1995年1月には新設の県教育庁文化課(現文化財保護課)三内丸山遺跡対策室に異動、特別史跡三内丸山遺跡の調査、研究、整備、活用に尽力。文化庁記念物課文化財調査官などを経て現在、青森県企画政策部世界文化遺産登録推進室長。

 
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縄文文化

 

先人たちの哲学や暮らしの在りかたを現代の糧に

「縄文文化というと、はるか昔のことで現在の自分たちの暮らしとはかけ離れた世界だと思っている方が多いのではないでしょうか。しかしそれは、大いなる誤解です。私たちの家のすぐそばから古墳や遺跡が発見されるように、縄文人たちの暮らしや文化は、私たちの“いま”と地続きです。私は、縄文研究とは考古学というよりは家庭科のようなものだと考えています。縄文時代とは、家族の時代。集落という社会が形成され、家族単位でそこに参加しながら、モノを修繕しながら大切に使ったり、食料のおいしい食べかたを工夫したり、衣服やアクセサリーに凝ったり、いきいきと家族の暮らしを謳歌した時代です。遺跡に立つということは、彼ら縄文人たちと同じ目線に立って物事を考えるということ。当時の人々の哲学や宗教観、世界観は、そこに残された出土品という事実を出発点に考察されるものです。ここ三内丸山遺跡は、そういう意味では情報のデパート。ありとあらゆるジャンル、幅広い年代の遺物が出土しており、ここを基点に我々日本人のルーツや精神文化の発端を訪ねる旅に出掛けることができるでしょう」

日本最大級の縄文集落跡を発掘調査する特別史跡三内丸山遺跡。出土した重要文化財約500点を含む総数約3700点の遺物が『さんまるミュージアム』に展示され、分かりやすく解説されています。そして、遺跡のシンボルともいえるのが『大型掘立柱建物』の復元タワー。青森の空にそびえるこの巨大な高床建物が、縄文中期のムラの様子を解き明かす重要なキーになっています。

「夏場には実際の発掘調査の現場を見ることができ、かつての人々が生きてきた証を日の下へと連れ出す瞬間に立ち会えるかもしれません。また、教科書などでは多様性を共通項で括って紹介されることが多かった縄文文化も、発掘調査の精度の向上とともによりクリアに、ヴィヴィッドに地域性がクローズアップされ、交易や通行によって伝播された文化の流れが解明されてきました。縄文を1万年という時系列の縦軸でひもとくなら、原始の姿を見る外ヶ浜町の『大平山元(おおだいやまもと)遺跡』から始まり、三内丸山で中期の姿を。同時期の内陸型の暮らしが見られる岩手県一戸町の『御所野遺跡』、外海型なら宮古市の『崎山貝塚』も見逃せません。そして時代が下ると、福島県福島市の『宮畑遺跡』のように大きな建造物が造られるようになります」

  • 御所野遺跡

  • 宮畑遺跡

歴史を縦軸に、地域性を横軸に東北の縄文を訪ねる

そして岡田さんは、地域性という横軸で読み解く縄文の視点もお薦めしてくれました。
「まずは秋田県のストーンサークルたちを訪ねたいですね。『大湯環状列石』を目の当たりにするとその精神世界の深さに心震える思いがしますし、『伊勢堂岱遺跡』では、その地に立てば“なぜ古人たちがこの地を選んだのか”がひしひしと伝わるはず。山形県高畠町の『うきたむ風土記の丘考古資料館』で見られる押出(おんだし)遺跡から出土した漆製品も、縄文文化の豊かさを知る一級の資料です。宮城県仙台市の『仙台市縄文の森広場』では、実際にアクセサリーや石器、編布(あんぎん)を作ったり火を熾したりするなど体験が充実していて、小さな子供たちにも縄文文化に親しむきっかけを与えてくれています。そして今年は、北海道、青森県、岩手県、秋田県に点在する17遺跡から成る『北海道・北東北の縄文遺跡群』の世界文化遺産登録もいよいよ大詰め。この国民的財産ともいえる遺跡・遺物の数々を、できるだけ最良の状態で次世代へと遺すことが、私たちの使命だと考えています」

  • 大湯環状列石

  • 伊勢堂岱遺跡

  • 押出(おんだし)遺跡出土
    彩漆(さいしつ)土器」

    ※無断転載禁止

「縄文文化」

縄文人の美と精神を感じる

是川石器時代遺跡(青森県八戸市)

北海道・北東北の縄文遺跡群のひとつである是川石器時代遺跡。隣接する是川縄文館では、国宝「合掌土偶」のほか多数の重要文化財を展示公開。2021年7月17・18日には開館10周年・東北DC特別企画として、非公開の収蔵庫や整理室を学芸員のガイド付きで巡る催しを予定。

info
八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館 0178-38-9511

海を越えた交流の足跡

函館市縄文文化交流センター(北海道函館市)

国指定の史跡大船遺跡や史跡垣ノ島遺跡等がある函館市。北海道唯一の国宝「中空土偶」を常設展示している。また、足形付土版など縄文時代の人々の「こころ」をあらわす遺物も多く展示されている。

info
函館市縄文文化交流センター 0138-25-2030

駅舎から街中の至る所に遮光器土偶

木造亀ヶ岡考古資料室/縄文住居展示資料館カルコ(青森県つがる市)

亀ヶ岡遺跡等の遺跡からの出土品を展示している「木造亀ヶ岡考古資料室」と「縄文住居展示資料館カルコ」。「遮光器土偶」、「籃胎漆器(らんたいしっき)」や「漆塗土器(うるしぬりどき)」は、その技術の高さと芸術性に驚かされるだろう。

info
つがる市教育委員会社会教育文化課 0173-49-1194

世界遺産を目指して

御所野縄文公園(岩手県一戸町)

縄文中期後半の大規模なムラの存在を示す御所野縄文遺跡。公園内には土屋根の竪穴住居やストーンサークル等が復原されており、隣接する博物館では出土品展示、土器やアクセサリーの製作体験ができる。ボランティアスタッフによるガイドも人気。北海道・北東北の縄文遺跡群のひとつでもある。

info
御所野縄文博物館 0195-32-2652

盛岡考古学の拠点

盛岡市遺跡の学び館(岩手県盛岡市)

埋蔵文化財の調査や資料の整理・収蔵を行うとともに、重要文化財を含む出土資料を豊富に展示。縄文時代の竪穴住居の発掘現場が再現され、遺物や遺構に直接触れながら発掘の疑似体験ができる。また、火おこしや勾玉づくりなどの体験学習にも参加できる。

info
盛岡市遺跡の学び館 019-635-6600

宮古に息づく縄文

崎山貝塚縄文の森ミュージアム(岩手県宮古市)

三陸ジオパークと縄文の歴史を学びながら、縄文人のくらしが体験できる考古系ミュージアム。国指定史跡・崎山貝塚から出土した遺物や貝塚をはぎ取った地層、プロジェクションマッピングなどを用いた映像展示のほか、火おこし・弓矢などの縄文体験ができる。

info
宮古市教育委員会文化課 0193-63-7526

縄文の知恵と技を学ぶ

仙台市縄文の森広場(宮城県仙台市)

約4,000年前の縄文時代中期に存在した集落・山田上ノ台遺跡。仙台市縄文の森広場では、3軒の竪穴住居をはじめとする縄文時代のムラと植生を復元しており、石のアクセサリーづくりや編布(あんぎん)づくり、舞ぎり式火おこしなど、体験を通して縄文文化を学ぶことができる。

info
仙台市縄文の森広場 022-307-5665

縄文人の暮らしに迫る

奥松島縄文村歴史資料館(宮城県東松島市)

宮戸島で発見された縄文時代の貝塚・里浜貝塚から出土した縄文土器や骨角器、石器、装飾具などを展示する資料館。縄文時代の里浜に生きた一家の暮らしを再現した映像シアター、約2,800年前の貝塚を剥ぎ取った貝層断面など見どころ多数。

info
奥松島縄文村歴史資料館 0225-88-3927

古代のものづくり

多賀城史遊館(宮城県多賀城市)

勾玉や縄文カゴ、らでんマグネットなどの製作や火おこしなどの体験を通し、昔の人々の優れた技術を学ぶことができる。また市内の遺跡から出土した土器をはじめとした資料や農作業の道具を展示しており、縄文時代から江戸時代までの歴史に加え、昭和40年代頃までの農家のくらしを概観できる。

info
多賀城史遊館 022-368-3127

縄文時代のパワースポット

伊勢堂岱遺跡(秋田県北秋田市)

縄文時代後期前葉の大規模な祭祀場だった伊勢堂岱遺跡。環状列石や配石遺構、掘立柱建物跡、土坑墓など、多くのマツリ・祈りの施設が見つかっている。縄文館では20分のガイダンス映像も楽しめ、東北DC期間中は限定グッズのプレゼントも。

info
伊勢堂岱縄文館 0186-84-8710

環状列石の謎を解く

大湯環状列石(秋田県鹿角市)

鹿角市十和田大湯にある2つの環状列石(野中堂環状列石・万座環状列石)が主体となった縄文時代後期の大規模な遺跡。大湯環状遺跡からの出土品展示やジオラマなどで当時の生活様式の紹介、無料の図書コーナーでは遺跡や考古学に関する書籍が閲覧できる。

info
大湯ストーンサークル館 0186-37-3822
  • 板状土偶

  • 土版

神秘とユーモア

いせどうくん・どばんくん(仮)(秋田県北秋田市・鹿角市)

伊勢堂岱遺跡に出土した200点以上の土偶の中で、唯一完全復元された板状土偶をモチーフにした「いせどうくん」。大湯環状列石から出土した人体や数を表していると考えられている土版の「どばんくん(仮)」。口コミで徐々に人気が高まっている。

info
北秋田市教育委員会生涯学習課 0186-62-6618
大湯ストーンサークル館 0186-37-3822

日本を代表する美しき土偶

国宝土偶「縄文の女神」出土地(山形県舟形町)

舟形町にある西ノ前遺跡より発掘された高さ約45cmの土偶。完全復元が可能な状態の土偶としては国内最大で、その均整の取れた八頭身の美しさは一見の価値あり。山形県立博物館(山形市)で常設展示している。出土地に整備された西ノ前遺跡公園「女神の郷」とともに訪れたい。

info
舟形町教育委員会 0233-32-2246
山形県立博物館 023-645-1111

古の名を冠して

うきたむ風土記の丘考古資料館(山形県高畠町)

置賜の遺跡や縄文時代のタイムカプセル、古墳を造る人々といったコーナーに分かれて常設展示が行われ、復元住居による縄文時代の生活再現や押出(おんだし)遺跡出土の「彩漆(さいしつ)土器」を見ることができる。また、周辺一帯は縄文時代から古墳時代にかけての歴史公園として整備されている。

info
山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館 0238-52-2585

観音様と環状列石

庭月観音(山形県鮭川村)

最上三十三観音の打ち止めの寺として有名な庭月観音。資料館の建立中に偶然発見された縄文時代中期の環状列石は、信仰・埋葬に関する施設という説が有力で、太古の昔よりパワースポットだったことが伺える。毎年8月18日には仏式としては東北随一の灯籠流しも開催される。

info
鮭川村観光協会(事務局:鮭川村役場むらづくり推進課内) 0233-55-2111

さまざまな体験を楽しむ

じょーもぴあ宮畑(福島県福島市)

縄文時代中期から晩期までの約2,000年間にわたる人々の生活を現在に伝える国史跡・宮畑遺跡。竪穴住居や掘立柱建物が復元された公園になっており、体験学習施設では宮畑に暮らした縄文人の四季や暮らし、まつりなどを出土品を用いて解説。体験も多数。

info
じょーもぴあ宮畑 024-573-0015

親子で楽しむ古代の体験

福島県文化財センター白河館 まほろん(福島県白河市)

「遺跡から学ぶ自然と人間のかかわり」をテーマにした体験型フィールドミュージアム。福島県内の遺跡から出土した数多くの土器や石器などを収蔵・展示。昔の暮らしの様子や家などを原寸大で復元展示するほか、勾玉づくりや火おこしなどの技術を親子で体験できる。

info
福島県文化財センター白河館 まほろん 0248-21-0700

福島の歴史を一堂に

福島県立博物館(福島県会津若松市)

県内の文化財・有形無形の文化遺産と自然史資料を一堂に集め、旧石器時代から現代までの福島の歴史と文化を時代ごとに紹介。縄文時代の展示室では、竪穴住居の再現や当時の「ふくしまの暮らし」を示す出土品をテーマごとに紹介。現在の暮らしとの共通点を探すのも楽しい。

info
福島県立博物館 0242-28-6000

※掲載されている情報は2021年2月現在の情報です。ご利用の際は、予めお問い合わせ先にご確認下さい。

※写真・イラストはすべてイメージです。実際と異なる場合がございます。

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