SPECIAL CONTENTS
菊地 善雄
つなぎ温泉観光協会会長
岩手県盛岡市生まれ。つなぎ温泉を代表する旅館「愛真館」、「ホテル紫苑」と仕出し事業「山里」を経営。つなぎ温泉観光協会会長として、観光による地域の連携に尽力している。


ハレとケ、その両方を彩るさんさ踊り
藩政時代より踊り継がれてきた「さんさ踊り」。その起源は、「岩手」の名の由来ともなった鬼退治伝説が残る三ツ石神社の境内で踊られた里人たちの踊り。それを原型に、各地の寺社や集落の広場での盆踊り、市街地での門付けなどへと発展、伝播していったものとされています。
「ひとくちにさんさ踊りと言ってもその種類は実にさまざまで、地域によって全く異なります。これら昔から各地域で踊り継がれてきたものを「伝統さんさ」、1978年に始まった『盛岡さんさ踊り』の開催に合わせて伝統さんさを参考に、みんな一緒に踊りやすいように考案されたものを「統一さんさ」と呼んでいます。統一さんさには現在、1番「統合さんさ踊り」、2番「七夕くずし」、3番「栄夜差(えやさ)踊り」、4番「福呼(ふっこ)踊り」の4つがあり、整然と、しかし軽やかに盛岡市役所前をパレードするさまは実に圧巻の華やかさ。このことを知っておくと、『盛岡さんさ踊り』がもっと楽しくなりますよ」
8月1日、東北の夏祭りの先陣を切って開催される『盛岡さんさ踊り』。2020年は残念ながら開催できませんでしたが、つなぎ温泉では、秋から毎週末ごとに多彩な団体によるさんさ踊りが披露され、宿泊客を楽しませています。
「年に一度の祭りがたとえなくなったとしても、さんさ踊りは地元・岩手の人々の暮らしと心に根付いている大切で身近な文化。幼稚園や小学校で踊りを覚え、十代で地域の団体に入って踊り続けているお嬢さんたちも多いんですよ。さんさ踊りは、ハレの踊りであるとともに日常の楽しみでもある。そして、踊り手さんたちの指先一本一本まで神経の行き届いたしなやかな美しさ、踊りの最初と最後に見せる礼儀正しさまで、ぜひ注目してみてください。彼女たちがいかに踊りに、そして観客の方々に敬意をもって臨んでいるかがよく分かります」
祭りが、東北の心を燃え立たせる
農作業や漁業もひと段落を迎える夏。人々は祭りにさまざまな願いと祈りを込め、熱く心と身体を燃やします。
「東北の夏は短い。だからこそ、盛り上がりも大きいんですよね。青森のねぶたや弘前ねぷた、福島の相馬野馬追は私でも血が騒ぐのを感じますし、秋田の西馬音内盆踊りはさんさ踊りにも通じる幻想的な美しさがとても魅力的。北上のみちのく芸能まつりも、地域に残る伝統芸能に触れられる貴重な機会です。ここ盛岡は、東北の移動に便利な地点。夏祭りやイベントをめぐる旅の中で、温泉につかってほっと一息ついてもらうのにとてもいい場所です。そうそう、秋田の大曲の花火は、夏はもちろん秋もすばらしい。大曲の花火を見た足でつなぎ温泉に泊まり、翌日また観光へお出掛けになる方もとても多いんですよ」
-
西馬音内盆踊り
相馬野馬追
-
五所川原立佞武多
「祭り」

ねぶたが繋ぐ街と人
ねぶたの家 ワ・ラッセ(青森県青森市)
毎年8月2日~7日に開催されている青森ねぶた祭の保存伝承や青森独特の伝統文化などの魅力を伝える観光交流施設。ねぶたの起源や歴史などを映像や造作物で紹介するとともに、実際に出陣したねぶたも展示。毎日おまつり体験を実施し、青森ねぶたを体感することができる。

八戸の真夏を彩る
八戸三社大祭(青森県八戸市)
国指定重要無形文化財、ユネスコ無形文化遺産にも登録された八戸地方最大の祭り。毎年7月31日~8月4日までの5日間、三神社(おがみ神社・新羅神社・神明宮)の神輿を中心に、豪華絢爛な山車絵巻や虎舞、大神楽などが中心街を練り歩く。

勇壮な大型佞武多
立佞武多の館(青森県五所川原市)
毎年8月4日~8日に開催される五所川原立佞武多。この祭りで出陣する高さ23mの大型立佞武多を、螺旋状のスロープを下りながらじっくり観覧することができ、巨大スクリーンの映像・音響効果とともに臨場感たっぷりに祭りの雰囲気を味わえる。

魂を揺さぶる舞の勇壮
北上・みちのく芸能まつり(岩手県北上市)
鬼剣舞や鹿踊、神楽など100余団体による芸能公演を市内各所で開催。芸能の伝承と鑑賞の趣向を取り入れた、質・規模ともに他に類をみないほどの祭りだ。最終日には約370年の伝統のある「トロッコ(灯籠)流し」と趣向を凝らした花火大会でフィナーレを迎える。

国内最大級のビールの祭典
全国地ビールフェスティバルin一関(岩手県一関市)
一関市の地ビール「いわて蔵ビール」をはじめ、全国そして海外の地ビールが一関の街に一堂に会する。地元の飲食店による地場食材を使った料理も評判が高く、特設ステージではアトラクションも。当日券のほか、割安な前売り券も販売される。

伝統のからくり山車
久慈秋まつり(岩手県久慈市)
大神宮、秋葉神社、巽山神社の三社に奉納する祭礼で、市内8つの山車組による絢爛豪華な山車が見どころ。全て手作りのからくり式で、最大12mにも及ぶ姿は圧巻だ。道の駅くじやませ土風館には実際の山車が展示されており、まめぶ汁など郷土の味も楽しめる。

豪華絢爛な笹飾り
仙台七夕まつり/仙台七夕花火祭(宮城県仙台市)
藩祖伊達政宗公の時代から続く、日本一の七夕まつり。願いをこめ、色とりどりの和紙で作られた笹飾りが青竹に揺れ、まちを彩る。8月5日には前夜祭として「仙台七夕花火祭」が行われ、毎年約16,000発の花火が盛大に打ち上げられる。

3種のホタルが大乱舞
川内ホタルのページェント(宮城県大郷町)
清流豊かな宮城県大郷町の川内地区。ここにはゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルの3種類のホタルが生息しており、7月上旬には無数のホタルたちの乱舞が観察できる。

唯一無二の夏祭り
東松島夏まつり(宮城県東松島市)
東松島市の夏を堪能する恒例イベント。会場内を練り歩く「八鷹神輿(やつたかみこし)」やステージイベントなど様々な催しが披露されるほか、たくさんの出店で沿道が賑う。中でも人気なのは、会場上空を飛ぶブルーインパルスの展示飛行で主役が駆け抜ける度に大きな歓声が会場をつつむ。

秋田自慢の祭り
秋田の山・鉾・屋台行事(秋田県秋田市・仙北市・鹿角市)
2016年、秋田の誇る3つの祭礼がユネスコ無形文化遺産に登録を果たした。「花輪祭の屋台行事」、「土崎神明社祭の曳山行事」、「角館祭りのやま行事」はいずれも各地域の風土を反映した独特の祭礼で、秀麗な曳山(山車)や屋台を多数巡行する人気の祭りだ。

稲穂のごとき竿燈
秋田竿燈まつり(秋田県秋田市)
厄よけ、五穀豊穣などを願う行事として約270年、庶民の間に受け継がれてきた。威勢のいい太鼓と繊細な笛によるお囃子に煽られ、1万の提灯を下げた280本もの竿燈が大通りに勢揃いする夜竿燈、差し手たちの職人芸を競い合う昼竿燈、いずれも見ごたえ十分だ。

幽玄なる夏の夜
西馬音内盆踊り(秋田県羽後町)
約700年前に始まったとされる西馬音内盆踊り。勇壮な囃子と野趣に満ちた歌声にあわせ、端縫いや藍染めの衣装に身を包み編み笠や彦三頭巾で顔を隠した踊り上手たちがしなやかな手振りと足運びを披露する。囃子方、踊り手、かがり火が繰り広げる夢幻の世界だ。

艶やかな花笠踊り
花笠まつり(山形県山形市・尾花沢市)
「ヤッショ、マカショ」の掛け声と花笠太鼓の勇壮な音色にあわせ、華やかな山車、紅花をあしらった笠を手にした踊り手が山形市のメインストリートで群舞を繰り広げる。また、「花笠踊り」発祥の地 ・尾花沢市では、毎年8月28日に花笠踊り大パレードが開催され、ダイナミックな笠廻しが楽しめる。

夏の終わりを彩る壮大な歴史絵巻
新庄まつり(山形県新庄市)
260年以上の歴史を持ち、2016年にユネスコ無形文化遺産に登録された新庄まつり。20台の華やかな山車行列、勇ましい祭囃子、約200人の武士や神職らが警護する古式ゆかしい神輿渡御行列、風雅な鹿子踊など、藩政時代をしのばせる歴史絵巻が次々と繰り広げられる。

感動日本一 心揺さぶられる大花火
赤川花火大会(山形県鶴岡市)
赤川花火大会は、赤川河川敷の広さを生かし、最大打揚げ幅700mのワイド感に圧倒される全国屈指の花火大会。桝席から見上げると、音楽と連動し、次々と打揚がる花火が視界いっぱいに広がり大きな感動を与えてくれる。第30回記念大会となる2021年は、どんな花火に出会えるのか楽しみだ。

蘇る戦国絵巻
相馬野馬追~出陣式・お繰り出し~(福島県相馬市)
相馬中村藩鎮守であった相馬中村神社でとりわけ厳かに行われる総大将出陣の儀。総大将からの訓示、祝宴の後、相馬の軍歌といわれる「相馬流れ山」の合唱を以て、出陣が命じられる。大手門から繰り出し、市中を一巡して南相馬鹿島へ向かう騎馬行列は圧巻。

12mの大わらじが席巻
福島わらじまつり(福島県福島市)
「信夫三山暁まいり」をルーツに、日本一の大わらじがまちを練り歩く。2019年、福島市ゆかりの音楽家である大友良英氏プロデュースにより踊りと衣装を一新。勇壮な笛太鼓の生演奏と生唄に合わせ、踊り手が躍動感のあるわらじおどりを披露する。

会津最大の祭り
会津まつり(福島県会津若松市)
総勢約500名が勇壮な武者姿で市内を練り歩く会津藩公行列をはじめ、提灯行列や日新館童子行列、鼓笛隊パレードなどを3日間にわたり開催。会津藩公行列では、各所で奴隊の毛槍の所作や火縄銃の演武、白虎隊演舞なども披露され、見どころのひとつ。会津磐梯山踊りへの参加も楽しい。
※掲載されている情報は2021年1月現在の情報です。ご利用の際は、予めお問い合わせ先にご確認下さい。
※写真・イラストはすべてイメージです。実際と異なる場合がございます。
※多くの観光施設やイベントが新型コロナウィルス感染症の影響で一時閉鎖・中止・延期になっています。状況は日々変動しますので、訪問前に主催者の公式ページでご確認ください。