SPECIAL CONTENTS
菊地 善雄
つなぎ温泉観光協会会長
岩手県盛岡市生まれ。つなぎ温泉を代表する旅館「愛真館」、「ホテル紫苑」と仕出し事業「山里」を経営。つなぎ温泉観光協会会長として、観光による地域の連携に尽力している。
取材日:2020年11月13日
SPECIAL CONTENTS
小笠原 修
八戸三社大祭山車祭り行事保存会 会長
八戸市出身。幼少の頃から八戸三社大祭のお囃子人に加わり、山車の製作現場を間近に育つ。現在は総合タクシーサービスを手掛ける三八五交通株式会社の代表取締役を務めつつ、地元である全27山車組で組織する「はちのへ山車振興会」の会長、そして八戸三社大祭山車祭り行事保存会の会長として祭りの保存に尽力する。
取材日:2021年4月15日


ハレとケ、その両方を彩るさんさ踊り
藩政時代より踊り継がれてきた「さんさ踊り」。その起源は、「岩手」の名の由来ともなった鬼退治伝説が残る三ツ石神社の境内で踊られた里人たちの踊り。それを原型に、各地の寺社や集落の広場での盆踊り、市街地での門付けなどへと発展、伝播していったものとされています。
「ひとくちにさんさ踊りと言ってもその種類は実にさまざまで、地域によって全く異なります。これら昔から各地域で踊り継がれてきたものを「伝統さんさ」、1978年に始まった『盛岡さんさ踊り』の開催に合わせて伝統さんさを参考に、みんな一緒に踊りやすいように考案されたものを「統一さんさ」と呼んでいます。統一さんさには現在、1番「統合さんさ踊り」、2番「七夕くずし」、3番「栄夜差(えやさ)踊り」、4番「福呼(ふっこ)踊り」の4つがあり、整然と、しかし軽やかに盛岡市役所前をパレードするさまは実に圧巻の華やかさ。このことを知っておくと、『盛岡さんさ踊り』がもっと楽しくなりますよ」
8月1日、東北の夏祭りの先陣を切って開催される『盛岡さんさ踊り』。2020年は残念ながら開催できませんでしたが、つなぎ温泉では、秋から毎週末ごとに多彩な団体によるさんさ踊りが披露され、宿泊客を楽しませています。
「年に一度の祭りがたとえなくなったとしても、さんさ踊りは地元・岩手の人々の暮らしと心に根付いている大切で身近な文化。幼稚園や小学校で踊りを覚え、十代で地域の団体に入って踊り続けているお嬢さんたちも多いんですよ。さんさ踊りは、ハレの踊りであるとともに日常の楽しみでもある。そして、踊り手さんたちの指先一本一本まで神経の行き届いたしなやかな美しさ、踊りの最初と最後に見せる礼儀正しさまで、ぜひ注目してみてください。彼女たちがいかに踊りに、そして観客の方々に敬意をもって臨んでいるかがよく分かります」
祭りが、東北の心を燃え立たせる
農作業や漁業もひと段落を迎える夏。人々は祭りにさまざまな願いと祈りを込め、熱く心と身体を燃やします。
「東北の夏は短い。だからこそ、盛り上がりも大きいんですよね。青森のねぶたや弘前ねぷた、福島の相馬野馬追は私でも血が騒ぐのを感じますし、秋田の西馬音内盆踊りはさんさ踊りにも通じる幻想的な美しさがとても魅力的。北上のみちのく芸能まつりも、地域に残る伝統芸能に触れられる貴重な機会です。ここ盛岡は、東北の移動に便利な地点。夏祭りやイベントをめぐる旅の中で、温泉につかってほっと一息ついてもらうのにとてもいい場所です。そうそう、秋田の大曲の花火は、夏はもちろん秋もすばらしい。大曲の花火を見た足でつなぎ温泉に泊まり、翌日また観光へお出掛けになる方もとても多いんですよ」
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西馬音内盆踊り
相馬野馬追
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五所川原立佞武多
取材日:2020年11月13日


八戸の誇りと心意気が夏を熱く染める
凶作に悩む八戸の有力者たちが法霊大明神(現在のおがみ神社)に好天と豊作を祈願、その願いが届き十分な収獲の秋を迎えることができたのが、享保5年(1720年)のできごとでした。八戸の人々はその恩恵に感謝、市井より寄付を募って神輿を造り、長者山三社堂(現在の新羅神社)に渡御したのが八戸三社大祭の始まりとされています。
「2016年にはユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」に登録され、2020年には起源とされる享保6年からちょうど300年を迎えることができました。八戸三社大祭は、八戸っ子たちにとっては郷土の誇りであるとともに、1年の暮らしの中でも中核をなす存在。祭りが終わったその日から、来年の祭りに心を馳せて暮らしていくと言っても過言ではありません」。
「起源の時と同じように、祭りの資金は地域の企業や市民からの寄付で成り立っています。山車を造る人たちも、専門の業者さんがいるわけではなく、市民ひとりひとりがみんな自分の技術や時間、道具を持ち寄り、手弁当で造り上げています。私も小学校1年生の時から、制作小屋の近くでお囃子の練習をしながらずっと大人たちの山車造りを見て育ちました。大人たちの真剣だけど楽しそうな様子に、“自分も大きくなったらあの現場に加わりたい”とわくわくしたものです」。
小笠原さんが本格的に山車の制作に携わったのは24歳頃のこと。
「山車は軍記や昔話に題材をとったものが多く、物語の名場面を再現したり、あらすじをひとつの場面に凝縮したりと、毎年それぞれの山車組が創意工夫を凝らしています。ここ数十年の間に山車そのものも大型化し、今では4.5m×4.5mを基本形に、トランスフォームすると横幅8m・高さ10m・奥行き11m、重さ10tという驚異の大きさに。表情豊かに極彩色で彩られた人形絵巻が、大迫力で八戸のまちを練り歩くさまは、まさに夏の夜の夢のごとしです。厳かな神事と神輿行列、そして絢爛たる人形山車のコントラストもまた、八戸三社大祭の魅力のひとつでしょう」。
大切なのは、祭り文化をしっかり保存した上で効果的に活用すること
「祭礼行事の保護と観光振興を両立しながら、祭りを存続、継承していくこと。これが我々にとっての最大の使命。そのために、八戸以外の地から多くの方々が観光に来てくださることが大きな励みになります。他の地域の山車や祭りを見ていても、観光でいらした方々の笑顔や声援がその地にとって大きなパワーになっていることを感じます。山形県の新庄まつりは、見物する方々によく見えるよう山車が横の構成になっているのがおもしろいですよね。在方の人がお囃子を担い、見物客の方々も祭りに参加している臨場感が味わえます。秋田県の角館祭りのやま行事は、武家屋敷街というシチュエーションがまず粋ですし、曳山の進行を交渉と「やまぶっつけ」で決める、というのも実にユニーク。花輪ばやしの屋台は、本漆と金粉で彩られとてもすばらしい。その地その町の心意気が、祭りや山車に現れていると感じます。東北の夏祭り、秋祭りを楽しみにしていただき、是非お越しください。」
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新庄まつり
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角館祭りのやま行事
※2021年度の八戸三社大祭は各神社の神事の一部を除き、山車行列等を取り止めることとなりました。
取材日:2021年4月15日
「東北の祭り情報はこちら」

ねぶたが繋ぐ街と人
ねぶたの家 ワ・ラッセ(青森県青森市)
毎年8月2日~7日に開催されている青森ねぶた祭の保存伝承や青森独特の伝統文化などの魅力を伝える観光交流施設。ねぶたの起源や歴史などを映像や造作物で紹介するとともに、実際に出陣したねぶたも展示。毎日おまつり体験を実施し、青森ねぶたを体感することができる。

八戸の真夏を彩る
八戸三社大祭(青森県八戸市)
国指定重要無形文化財、ユネスコ無形文化遺産にも登録された八戸地方最大の祭り。毎年7月31日~8月4日までの5日間、三神社(おがみ神社・新羅神社・神明宮)の神輿を中心に、豪華絢爛な山車絵巻や虎舞、大神楽などが中心街を練り歩く。
※2021年度は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、一部神事を除き、山車運行等取り止めとなりました。(2021年5月31日更新)

勇壮な大型佞武多
立佞武多の館(青森県五所川原市)
例年8月4日~8日に開催される五所川原立佞武多。この祭りで出陣する高さ23mの大型立佞武多を、螺旋状のスロープを下りながらじっくり観覧することができ、巨大スクリーンの映像・音響効果とともに臨場感たっぷりに祭りの雰囲気を味わえる。

日本を代表する火祭り
青森ねぶた祭(青森県青森市)
笛、鉦、太鼓が響き渡る囃子に、乱舞する跳人に囲まれて勇壮華麗な大型ねぶたが街を練り歩く「青森ねぶた祭」は日本を代表する火祭りのひとつだ。
※2021年の「青森ねぶた祭」は開催中止となりました。

下北半島最大の祭り
田名部まつり(青森県むつ市)
下北半島最大の祭り「田名部神社例大祭」は、古くから船で往来があった京都祇園の流れをくむとされる。祇園の祭りを思わせる囃子や、華やかな飾りに彩られた5台の山車が市内を練り歩く様子は、随所に祇園を感じさせる。

日本三大流し踊りのひとつ
黒石よされ(青森県黒石市)
阿波踊り、郡上踊りとともに日本三大流し踊りに数えられる「黒石よされ」。メインの流し踊りでは、連日2,000人もの踊り子が市内を踊り歩く。また、三味線、太鼓などを使った津軽民謡手踊りが見事な組踊りも必見。
※2021年度は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、黒石よされ流し踊り及び関連イベントは一部を除き中止となりました。(2021年5月31日更新)


魂を揺さぶる舞の勇壮
北上・みちのく芸能まつり(岩手県北上市)
鬼剣舞や鹿踊、神楽など100余団体による芸能公演を市内各所で開催。芸能の伝承と鑑賞の趣向を取り入れた、質・規模ともに他に類をみないほどの祭りだ。最終日には約370年の伝統のある「トロッコ(灯籠)流し」と趣向を凝らした花火大会でフィナーレを迎える。

国内最大級のビールの祭典
全国地ビールフェスティバルin一関(岩手県一関市)
一関市の地ビール「いわて蔵ビール」をはじめ、全国そして海外の地ビールが一関の街に一堂に会する。地元の飲食店による地場食材を使った料理も評判が高く、特設ステージではアトラクションも。当日券のほか、割安な前売り券も販売される。


伝統のからくり山車
久慈秋まつり(岩手県久慈市)
大神宮、秋葉神社、巽山神社の三社に奉納する祭礼で、市内8つの山車組による絢爛豪華な山車が見どころ。全て手作りのからくり式で、最大12mにも及ぶ姿は圧巻だ。道の駅くじやませ土風館には実際の山車が展示されており、まめぶ汁など郷土の味も楽しめる。

幸せのくちどけ!
たねいちウニまつり(岩手県洋野町)
種市産のウニは、三陸ジオパークのジオサイトでもあるウニ増殖溝で良質な昆布をたっぷり食べて育つので、身入りがよく、甘みが強いのが特徴。「たねいちウニまつり」では、自慢の種市産ウニの展示即売を始め、ウニに関する様々なイベントに参加できる。

豪華絢爛な笹飾り
仙台七夕まつり/仙台七夕花火祭(宮城県仙台市)
藩祖伊達政宗公の時代から続く日本一の七夕まつりは、毎年8月6、7、8日に開催。願いをこめ、色とりどりの和紙で作られた笹飾りが青竹に揺れ、まちを彩る。また、8月5日には前夜祭として「仙台七夕花火祭」が行われる。
※2021年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、仙台七夕まつりは飾りの規模を大幅に縮小して開催いたします。また、仙台七夕花火祭は、開催時間・場所を非公開とした無観客で開催いたします。

3種のホタルが大乱舞
川内ホタルのページェント(宮城県大郷町)
清流豊かな宮城県大郷町の川内地区。ここにはゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルの3種類のホタルが生息しており、7月上旬には無数のホタルたちの乱舞が観察できる。

唯一無二の夏祭り
東松島夏まつり(宮城県東松島市)
東松島市の夏を堪能する恒例イベント。会場内を練り歩く「八鷹神輿(やつたかみこし)」やステージイベントなど様々な催しが披露されるほか、たくさんの出店で沿道が賑う。中でも人気なのは、会場上空を飛ぶブルーインパルスの展示飛行で主役が駆け抜ける度に大きな歓声が会場をつつむ。

石巻伝統の歴史ある祭り
石巻川開き祭り(宮城県石巻市)
「石巻川開き祭り」は、伊達政宗公の命を受けて行われた、北上川の開削と石巻に港を開いたことを記念して始まった由緒ある祭り。2021年度は供養祭のみ開催。(陸上パレード等は一部オンラインにて開催予定。)



秋田自慢の祭り
秋田の山・鉾・屋台行事(秋田県秋田市・仙北市・鹿角市)
2016年、秋田の誇る3つの祭礼がユネスコ無形文化遺産に登録を果たした。「花輪祭の屋台行事」、「土崎神明社祭の曳山行事」、「角館祭りのやま行事」はいずれも各地域の風土を反映した独特の祭礼で、秀麗な曳山(山車)や屋台を多数巡行する人気の祭りだ。
※2021年の「花輪ばやし」の屋台合同運行は中止となりました。

稲穂のごとき竿燈
秋田竿燈まつり(秋田県秋田市)
厄よけ、五穀豊穣などを願う行事として約270年もの歴史を持つ秋田竿燈まつり。流麗なお囃子とともにたくさんの提灯を下げた約280本もの竿燈が大通りを埋め尽くす夜竿燈、差し手と囃子方が自慢の技を競い合う昼竿燈(竿燈妙技大会)、いずれも見ごたえ十分。
※新型コロナウイルスの感染症拡大防止のため、2021年8月3日~6日に開催を予定しておりました秋田竿燈まつりは中止となりました。

幽玄なる夏の夜
西馬音内盆踊り(秋田県羽後町)

約700年前に始まったとされる西馬音内盆踊り。勇壮な囃子と野趣に満ちた歌声にあわせ、端縫いや藍染めの衣装に身を包み編み笠や彦三頭巾で顔を隠した踊り上手たちがしなやかな手振りと足運びを披露する。囃子方、踊り手、かがり火が繰り広げる夢幻の世界だ。DC特別企画として、衣装の着付け体験や盆踊り体験などを実施する。


艶やかな花笠踊り
花笠まつり(山形県山形市・尾花沢市)
華やかに彩られた山車を先頭に、「ヤッショ、マカショ。」の勇ましい掛け声と花笠太鼓が高らかに真夏の夜に響き渡るなか、紅花をあしらった笠を手に、艶やかな衣装に身を包んだ踊り手が群舞を繰り広げる。


夏の終わりを彩る壮大な歴史絵巻
新庄まつり(山形県新庄市)
2016年ユネスコ無形文化遺産に登録された天満宮の祭礼に由来をもつ新庄の夏の風物詩。市民の手で一から作り上げる山車(やたい)は、歌舞伎や歴史・物語の場面を見事に表現した圧巻の見ごたえ。毎年作り変えるのでその年の山車を見られるのは3日間だけ。山車の運行とともに奏でられる勇壮なお囃子の音色が町中を熱狂に包む。

感動日本一 心揺さぶられる大花火
赤川花火大会(山形県鶴岡市)
赤川花火大会は、赤川河川敷の広さを生かし、最大打揚げ幅700mのワイド感に圧倒される全国屈指の花火大会。桝席から見上げると、音楽と連動し、次々と打揚がる花火が視界いっぱいに広がり大きな感動を与えてくれる。第30回記念大会となる2021年は、どんな花火に出会えるのか楽しみだ。

真夏の雪まつり!
真夏の雪まつりsnowえっぐフェスティバル(山形県飯豊町)
冬から貯蔵していた雪を活用した真夏の雪まつり「SNOWえっぐフェスティバル」。例年、雪上宝探しや雪玉ストラックアウトなど、雪を使ったイベントで盛り上がる。フィナーレでは、夜空いっぱいに花火が打ち上がる。


12mの大わらじが席巻
福島わらじまつり(福島県福島市)
「信夫三山暁まいり」をルーツに、日本一の大わらじがまちを練り歩く。2019年、福島市出身の音楽家である大友良英氏プロデュースにより踊りと衣装を一新。勇壮な笛太鼓の生演奏と生唄に合わせ、踊り手が躍動感のあるわらじおどりを披露する。

会津最大の祭り
会津まつり(福島県会津若松市)
総勢約500名が勇壮な武者姿で市内を練り歩く会津藩公行列をはじめ、提灯行列や日新館童子行列、鼓笛隊パレードなどを3日間にわたり開催。会津藩公行列では、各所で奴隊の毛槍の所作や火縄銃の演武、白虎隊演舞なども披露され、見どころのひとつ。会津磐梯山踊りへの参加も楽しい。

豪華絢爛な花嫁行列
会津田島祇園祭(福島県南会津町)
古くから日本三大祇園祭のひとつに数えられる「会津田島祇園祭」。豪華絢爛な花嫁衣装を着た女性が列をなして神社への道のりを歩く「七行器行列」や勇壮に駆ける大屋台の運行、子供歌舞伎の上演など見どころが満載。
※多くの観光施設やイベントが新型コロナウィルス感染症の影響で一時閉鎖・中止・延期になっています。状況は日々変動しますので、訪問前に主催者の公式ページでご確認ください。