美術館・博物館

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私のおすすめ!美術館・博物館

三上 雅通

弘前れんが倉庫美術館 館長

弁護士として活躍する傍ら、1992年より14年間続いた「なみおか映画祭」のディレクターを務める。2002年からは「奈良美智展」開催のためのボランティアスタッフとして尽力、アートNPO法人harappaを立ち上げ初代理事長に就任。2020年3月、「弘前れんが倉庫美術館」初代館長に就任。

 
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美術館・博物館

奈良美智《A to Z Memorial Dog》2007 年
©Yoshitomo Nara

 

かつて清酒、そしてシードルの醸造所だった吉野町煉瓦倉庫。築100年を経たこの建物が弘前市の新たなランドマークとして甦るきっかけとなったのは、弘前出身の美術作家・奈良美智氏との出会いでした。
「当時の倉庫の持ち主である吉井千代子さんが、ある日奈良さんの作品を倉庫で展示したいと思いつき、奈良さん側にコンタクトを取りました。この倉庫の中はどうなっているのか。奈良さんは幼い頃からずっと気になっていたそうです。初めて倉庫に入って、その空間のすごさに魅せられ、仰天したそうです。“ここで展示を行いたい”という吉井さんの気持ちが、奈良さんや弘前市民、全国の皆さんにも響き、2002年、2005年、2006年と3回にわたり『奈良美智展』が開催されたのです」

人口約17万人の弘前で、この展覧会を訪れた来場者はのべ15万8000人。しかも、この展覧会のためのリノベーションから運営までのほぼすべてがボランティアの手で行われたということに、とても大きな価値があり、三上さんもまた、自ら汗を流したボランティアのひとりでした。

「朽ちさせず、壊さず、再生の日のために倉庫を守ってきた持ち主の方と奈良さん、そしてその存在に美しさや尊さを感じてくれた多くの人々によって生まれた美術館ですから、その100年の記憶ごと継承していこう、過去のみならず未来へと時間軸を向けていこう、というのが当館のコンセプトです。弘前というこの地、この場所から生まれた作品や、弘前そのものを感じさせる作品などを新たに見出していきたい。“古い革袋に新たな酒を注ぎこむような気持ちで”です。そして、この美術館自体も、これまでよりもさらに弘前のまちと一体となったランドスケープを描くものになりました。田根剛氏が建築設計を手掛けたこの建物自体が、ひとつの作品なんです」

  • ©Naoya Hatakeyama

ミュージアム巡りは、まちの魅力巡り。

「コールタールが塗りこまれた漆黒の展示空間。2階ライブラリーのひんやりと静謐な空間。夕方になれば、窓の外には岩木山に落ちる夕日の情景。耳をすませば、電車の走る音や教会の鐘の音。どれも、この場所に立つこの弘前れんが倉庫美術館でなければ体感できないこと。秋田県立美術館を訪れた時も、同じような感動を覚えました。2階ラウンジの窓から見た秋田のまちは、まるで映画を見ているようにドラマティック。そして、秋田の人たちが行きつけのカフェや散歩道のついでのように、ごく自然に美術館を訪れている。観光名所ではなく、日常の中のひとつの楽しみとして美術館が存在しているんですね。まちを愛し、まちに愛される美術館とはこうあるべきなんだな、と改めて思いました。そうした、地域に根ざしたものを基点として新たなものを創造しようとしているミュージアムが、東北にはたくさんあります。山形県・酒田市の土門拳記念館の佇まいもすばらしいし、まちの人たちに愛され続ける歌がテーマの古関裕而記念館も、とても福島のまちに調和している。ドラマをきっかけに、県外の方からも注目されていますね。石ノ森萬画館や宮沢賢治記念館など、お子さんたちにも親しみやすいミュージアムを親子でめぐるのも、とても楽しいと思います。そしてわが青森県では今年、当館と青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、十和田市現代美術館そして2021年に開館予定の八戸市新美術館の5つが連携してミュージアムめぐりをより楽しくする「青森アートミュージアム5館連携」をスタートします。どの美術館も、建築そのものからして個性あふれる芸術作品ですから、たっぷり時間をとって巡ってみてください」

  • 弘前れんが倉庫美術館 
    撮影:小山田邦哉

  • 秋田県立美術館

  • 青森公立大学 国際芸術センター青森

「美術館・博物館」

青森ゆかりの作家たち

青森県立美術館(青森県青森市)

建築家・青木淳氏が三内丸山遺跡の発掘現場から着想を得てデザインした、白亜のミュージアム。シャガールによる約9m×15mの大作・バレエ「アレコ」の舞台背景画をはじめ、奈良美智や棟方志功など青森県ゆかりのアーティストの作品が揃う。

info
青森県立美術館 017-783-3000
access
JR新青森駅から車で約10分

個性的な展示空間

十和田市現代美術館(青森県十和田市)

個々の展示室を「アートのための家」として独立。敷地内に分散配置したそれらの空間をガラスのコリドーで繋げた美しい設計は、西沢立衛によるもの。草間彌生、奈良美智、ロン・ミュエクなど、世界の第一線で活躍するアーティスト33組の作品38点を常設展示。

info
十和田市現代美術館 0176-20-1127
access
JR七戸十和田駅から車で約20分

大空と飛翔がテーマ

青森県立三沢航空科学館(青森県三沢市)

世界初の太平洋無着陸横断飛行に成功したミス・ビードル号の実物大復元機などを展示。「めざせパイロット体験教室」「星空観察会」などのイベントも多彩。2020年12月から休館し、最新航空技術の展示、体験型展示装置と「宇宙ゾーン」を新設。2021年4月中旬にリニューアルオープン予定。

info
青森県立三沢航空科学館 0176-50-7777
access
青い森鉄道三沢駅から車で約15分

賢治の世界に触れる

宮沢賢治記念館(岩手県花巻市)

愛用品や原稿といった賢治ゆかりの資料展示のほか、作品や映像などでその世界観に触れることができる。2021年9月8日から9月21日には有名な詩「雨ニモマケズ」の手帳を特別公開。また、記念館の近くにある宮沢賢治童話村ではライトアップも同時開催。

info
宮沢賢治記念館 0198-31-2319

太古のロマンが結晶化

久慈琥珀博物館(岩手県久慈市)

東北DC特別企画

久慈琥珀美術館では国内初の「ティラノサウルス類の歯の化石」や「昆虫入り琥珀」などを含む特別展を開催。DC期間中は、約9,000万年前の地層から琥珀や化石を掘り当てる「琥珀採掘体験」と「化石発掘体験」、「琥珀入り万華鏡作り体験」などの企画も予定されている。

info
久慈琥珀博物館 0194-59-3831
access
JR久慈駅から車で約10分

鬼とは何かを問う

北上市立鬼の館(岩手県北上市)

鬼剣舞発祥の地に立つ、「鬼」をテーマとした博物館。鬼が登場する世界中の文献・資料やアジアを中心とした仮面など、鬼にまつわるさまざまな資料を収集・展示。闇に生きてきた鬼の存在を多面的に浮かび上がらせ、鬼とは何かを改めて問いかける。鬼剣舞の公演も開催。

info
北上市立鬼の館 0197-73-8488
access
JR北上駅から車で約20分

岩手ゆかりの作品に触れる

岩手県立美術館(岩手県盛岡市)

岩手県出身作家の作品を中心に収蔵した常設展示と、国内外の様々なテーマによる企画展を開催。講演会やワークショップ、コンサート等のイベントも随時開催され、楽しみながら気軽に美術に親しむことができる。

info
岩手県立美術館 019-658-1711
access
JR盛岡駅から徒歩約20分

「花とアートの森」に一新!

石神の丘美術館(岩手県岩手町)

岩手県初の野外彫刻美術館・石神の森美術館は、アートと草花を楽しめる「花とアートの森」に2020年9月、リニューアルオープン。石彫などのアート作品と一緒に、ラベンダーやアジサイなど四季の草花を散策しながら楽しめる。

info
石神の丘美術館 0195-62-1453
access
JRいわて沼宮内駅から徒歩約10分

色褪せぬ作品世界

石ノ森萬画館(宮城県石巻市)

『仮面ライダー』『サイボーグ009』などを生みだした萬画家、石ノ森章太郎の作品世界を立体的に再現したマンガミュージアム。貴重な原画や作品ごとに設けたコーナーがあり、中でも歴代仮面ライダーのマスクが並ぶ展示は圧巻です。その他ライブラリーや映像ホールも人気。

info
石ノ森萬画館 0225-96-5055

サメをテーマにした博物館

シャークミュージアム(宮城県気仙沼市)

気仙沼市魚市場に隣接する観光物産施設、気仙沼「海の市」の2階にある日本で唯一のサメのミュージアム。サメの実物大模型やサメの不思議な生態などを分かりやすく解説展示、サメの水揚げ日本一を誇る気仙沼ならではの驚きと魅力があふれる内容となっている。

info
株式会社気仙沼産業センター 0226-24-5755

東北の歴史を俯瞰

東北歴史博物館(宮城県多賀城市)

旧石器時代から現代までの、東北地方全域の歴史を中心とした展示、映像上映を行う博物館。敷地内には江戸時代の古民家が移築・復元され、東北の伝統文化を幅広く紹介している。こども歴史館では、さまざまな体験を通して子供たちが歴史を楽しく学ぶことができる。

info
東北歴史博物館 022-368-0106
access
JR国府多賀城駅下車すぐ

政宗のよろいや刀などが勢ぞろい!

仙台市博物館開館60周年記念祭
「たっぷり わくわく 名品尽し」(宮城県仙台市)

東北DC特別企画

伊達家寄贈文化財の保管・展示・研究のために開館した仙台市博物館。DC期間中の4月23日〜6月6日には開館60周年記念祭「たっぷり わくわく 名品尽し」が開催され、伊達政宗ゆかりの刀剣や具足・陣羽織、絵図など、国宝を含む選りすぐりの名品が一堂に展示される。

info
仙台市博物館 022-225-3074
access
仙台市地下鉄国際センター駅から徒歩約8分

「世界のフジタ」を一堂に

秋田県立美術館(秋田県秋田市)

秋田市の資産家・平野政吉収集の「平野政吉コレクション」の中から、「秋田の行事」(1937)をはじめとする藤田嗣治の1930年代の作品群を常設展示、調査・研究に基づいた企画展、特別展を開催している。2013年に竣工した安藤忠雄設計の建物も見どころのひとつ。

info
公益財団法人平野政吉美術財団 018-853-8686

実際に遊べるおもちゃたち

鳥海山 木のおもちゃ美術館(秋田県由利本荘市)

2004年に廃校になるも、国の登録有形文化財に登録された旧鮎川小学校を再生、2018年7月に「木のおもちゃ美術館」に。実際に触って遊べる木のおもちゃや2歳以下の赤ちゃん専用「ハイハイひろば」、手づくり体験など、教室ごとにさまざまな楽しみを展開。

info
鳥海山 木のおもちゃ美術館 0184-74-9070
access
由利高原鉄道鮎川駅からシャトルバスで約5分

日本が誇るマンガ文化の発信拠点

横手市増田まんが美術館(秋田県横手市)

2019年5月、日本で唯一の「マンガの原画収蔵」をテーマにリニューアル。「マンガの蔵展示室」には『釣りキチ三平』の矢口高雄氏をはじめ、著名な漫画家の貴重な原画を約40万点収蔵・保存・公開。ライブラリーやカフェもあり、幅広い年齢層に愛されている。

info
横手市増田まんが美術館 0182-45-5569

舞踏家の足跡を伝える美術館

鎌鼬(かまいたち)美術館(秋田県羽後町)

秋田県出身の舞踏家、土方巽(ひじかた たつみ)が生んだ傑作写真集「鎌鼬(かまいたち)」。その舞台となった秋田県羽後町には「鎌鼬美術館」がある。古民家を生かした館内には、土方の写真パネルや「鎌鼬」の初版本など、貴重な品々が並ぶ。

info
鎌鼬の会事務局 0183-62-4623
access
JR湯沢駅から車で約30分

美しい自然と建物が協調した芸術空間

土門拳記念館(山形県酒田市)

写真界の巨匠・土門拳の全作品を収蔵する写真専門美術館。「古寺巡礼」「ヒロシマ」「筑豊のこどもたち」などを順次公開。谷口吉生氏設計の建物、イサム・ノグチ氏による中庭彫刻、勅使河原宏氏設計の造園など、土門ゆかりの一流人による空間そのものも大きな魅力。

info
公益財団法人土門拳記念館 0234-31-0028
access
JR酒田駅から車で約15分

新庄の歴史と文化を紡ぐ場所

新庄ふるさと歴史センター(山形県新庄市)

祭り、歴史、民俗の三つの視点から新庄を紹介する観光拠点。ユネスコ無形文化遺産「新庄まつり」で運行された優秀山車を展示しているほか、人間国宝の金工鍛金家・奥山峰石氏と日本洋画界で活躍された近岡善次郎氏の作品を堪能することができる。

info
新庄ふるさと歴史センター 0233-22-2188
access
JR新庄駅から徒歩約15分

上杉氏ゆかりの城下町・米沢の歴史に触れる

伝国の杜 米沢市上杉博物館(山形県米沢市)

数千に及ぶ上杉氏ゆかりの貴重な品々や国宝が収蔵。上杉の歴史と文化がテーマの常設展示室では、米沢入部から始まり藩政の推移、名君上杉鷹山の事績を紹介。米沢藩上杉家に受け継がれた「京の都」の日常風景を描いた国宝「上杉本洛中洛外図屏風」を見ることもできる。

info
伝国の杜 米沢市上杉博物館 0238-26-8001

連続テレビ小説「エール」のモデル

福島市古関裕而記念館(福島県福島市)

昭和を彩る名曲を生んだ福島市出身の作曲家・古関裕而氏の功績をたどる記念館。名曲「とんがり帽子」を彷彿させる建物の中には、写真パネル、直筆色紙、作曲作品の楽譜等、数々の資料やハモンドオルガン等を展示。氏の書斎を再現した記念室も。

info
福島市古関裕而記念館 024-531-3012
access
JR福島駅からバスで約10分

世界を魅了した唯一無二の絵画世界

やないづ町立斎藤清美術館(福島県柳津町)

会津が生んだ、日本現代版画を代表する画家、斎藤清の作品・関連資料約1,000点を所蔵・展示。会津の四季の風景から外国の風物、猫、人物などをテーマとした多彩な作品を観覧できる。2021年度は春と秋に二つの特別企画展が開催されるほか、東北DCに合わせナイトミュージアムや、様々なアートイベントを予定している。

info
やないづ町立斎藤清美術館 0241-42-3630

野馬追の大ジオラマ

南相馬市博物館(福島県南相馬市)

東北DC特別企画

野馬追祭場地の東側、東ケ丘公園の広大な敷地に立つ博物館。相馬地方の伝統行事である相馬野馬追(国指定重要無形民俗文化財)をはじめ、周辺の自然・歴史・民俗をテーマとした展示を展開。相馬野馬追の開催日を含めた前後の日程で、東北DC特別企画展も実施。

info
南相馬市博物館 0244-23-6421
access
JR原ノ町駅から車で約10分

※掲載されている情報は2021年1月現在の情報です。ご利用の際は、予めお問い合わせ先にご確認下さい。

※写真・イラストはすべてイメージです。実際と異なる場合がございます。

※多くの観光施設やイベントが新型コロナウィルス感染症の影響で一時閉鎖・中止・延期になっています。状況は日々変動しますので、訪問前に主催者の公式ページでご確認ください。

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