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五戸 彰彦
青森県観光国際戦略局
誘客交流課
青森県出身。県職員として長年地域開発、観光開発に携わる。3年かけて青森県のすべての温泉を踏破、データを収集してパンフレットに纏めたほか、東北各地の温泉に精通している。


下風呂温泉 大湯
知られざる価値を秘めた、東北の温泉
「青森県は、人口10万人に対する公衆浴場の数が日本一多いところ。しかも、そのほとんどが温泉なんです。ここ下北半島の下風呂温泉にも大湯、新湯と2つの温泉共同浴場があり、地域の人たちに親しまれてきました」。地域の人々にとって、温泉は日常の愉しみ。朝風呂、出勤前や帰宅前のひとっ風呂が日常のひとコマ。なにせ自宅のお風呂に入るより共同浴場に入る日の方が多いほどで、車に自前のお風呂セットを積んでいるのがあたりまえなのだといいます。ここ下風呂温泉は温泉以外に、冬にはあんこう、春にはサクラマス、夏にはイカやウニ、鮑といった津軽海峡の海の幸がたっぷり楽しめるのも、大きな魅力です。
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鳴子温泉郷
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銀山温泉
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玉川温泉
「東北には、まだまだ知られざるポテンシャルを秘めた温泉がたくさんあると思うんです。ここ下風呂も、深海魚であるあんこうが活きたまま水揚げされ、刺身で味わえる稀少さに気づいたのはごく最近のこと。地元の人たちにとっては、あたりまえすぎて気づかなかった。でも、こうした“あたりまえ”だと思っていることにこそ、価値がある。身近な食文化と温泉文化が相乗効果となって暮らしを豊かにし、そこに在る暮らしそのものと、ごく自然に寄り添っている。そんな、言うなれば“普段着の温泉”に惹かれますね。8種の源泉が日常的に楽しめて、こけしをはじめとした文化が豊かに街に展開している宮城の鳴子温泉郷や、強烈な泉質を見事に活かしている秋田の玉川温泉、連綿と続く歴史を情緒あふれる街並みごと守ってきた山形の銀山温泉など、挙げればきりがありません」。
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十二湖
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黄金崎不老ふ死温泉
また、温泉そのものはもちろん、そこへと至る過程も温泉を楽しむ重要なファクターです。八甲田・十和田湖方面では「新緑の奥入瀬渓流を散策した後に入る蔦や谷地、猿倉温泉。日本海側へ行けば青いインクを流したような神秘の色をたたえた青池をはじめ、十二湖ならぬ三十三湖めぐりの後に見る黄金崎不老ふ死温泉からの夕陽。そして下北半島では、澄んだ空と海を背景にした仏ケ浦の奇勝や寒立馬の雄姿を堪能した後の、下風呂温泉。大湯、新湯のふたつの共同浴場は、井上靖ゆかりの湯とともに「下風呂温泉海峡の湯」として2020年12月1日に新たに生まれ変わりました。大湯のあの、飛び上がるほどに熱い湯も健在です。『下北ゆかい(湯海)村』と呼ばれ愛されている下風呂温泉のいまを、ぜひ楽しんでください」。
「温泉」

日本一の黒い湯
東北温泉(青森県東北町)
亜炭の層を通過して湧出するモール温泉である東北温泉は、自称「日本一黒い湯」。アルカリ性単純温泉、100%源泉掛け流しの湯には天然保湿成分のメタケイ酸が多く含まれており、肌の汚れや古い角質を落とす性質を有することから「美人泉質」とも呼ばれている。

海と夕陽と一体に
黄金崎不老ふ死温泉(青森県深浦町)
世界自然遺産・白神山地のふもとに立つ一軒宿。海岸と一体化したひょうたん型の露天風呂からは、日本海に沈む夕陽を一望できる。赤褐色の温泉はよく温まり冷めにくいことから別名「熱の湯」とも呼ばれ、傷や美肌への効果も高いと評判だ。

4つの温泉に4つの力
黒石温泉郷(青森県黒石市市)
大きな共同浴場を囲むようにして客舎と呼ばれる湯治宿が立ち並ぶ「温湯」、黒石の奥座敷「落合」、ゆるやかに流れる浅瀬石川河岸の静かでゆったりした温泉地「板留」、ランプの宿として有名な山峡の秘湯「青荷」からなる黒石温泉郷。美肌の湯を代表にそれぞれに異なった泉質を有し、四季折々の景観とともに楽しめる。

国民保養温泉地第一号
酸ヶ湯温泉(青森県青森市)
酸ヶ湯温泉は、三百年前から開かれている温泉宿で、国民保養温泉地第一号。総ヒバ造りの大浴場「ヒバ千人風呂」が名物で、160畳もある浴室には、熱の湯、冷の湯、四分六分の湯、湯滝など5つの浴槽があり、ゆったりと名湯を楽しめる。

野趣あふれる山頂の湯
藤七温泉(岩手県八幡平市)
八幡平の山頂近くに湧く藤七温泉は、標高1400mの高地に位置する。八幡平の尾根を眼下に、早朝の朝焼け・ご来光、広がる雲海を望みながら、5つの混浴露天風呂や女性専用の露天風呂など、開放感たっぷりの湯につかることができる。

文人たちも愛した湯
花巻温泉郷(岩手県花巻市)
中尊寺や厳美渓などから車で1時間ほど、観光の拠点にもぴったりな花巻温泉郷。どこか懐しく落ち着きのある「台温泉」や、長い歴史と露天風呂が魅力の「大沢温泉」など個性豊かな12の温泉地が集まっており、周辺には宮沢賢治や高村光太郎ゆかりのミュージアムなど見どころも多数。

座敷わらしの里で癒す
金田一温泉郷(岩手県二戸市)
金田一温泉郷は、1626年(寛永3年)に発見され「侍の湯」と呼ばれる南部藩の指定湯治場だった。この地は「座敷わらしの里」とも呼ばれ、出会うと幸せが訪れるという言い伝えがある。また、1500万年前のユダクサガメの化石が出土するなど歴史を感じさせるエピソードも数多く残っている。

八幡平愛好家の秘湯
松川温泉(岩手県八幡平市)
もともとは湯治が主体の気取らない山の湯として親しまれてきたが、木の温もりを感じる設えで、山岳愛好家達にも人気の宿に。特に、新緑の5~6月と本州の中で一番早いと言われる三ツ石山の紅葉を楽しめる9月中旬からは、多くの山歩き客が訪れる。

海を臨む天然温泉
大船渡温泉(岩手県大船渡市)
大船渡温泉は、震災後の2014年7月に開業。三陸・大船渡湾を望む大パノラマの天然温泉と、漁師でもあるオーナーが厳選した三陸の海の幸を使った漁師めしが評判。三陸では数少ない天然温泉で、潮騒をBGMに入る露天風呂は格別。

8つの泉質、400の源泉
鳴子温泉郷(宮城県大崎市)
鳴子温泉を中心に、東鳴子温泉、川渡温泉、中山平温泉、鬼首(おにこうべ)温泉の5つで構成される鳴子温泉郷。その広く豊かなシチュエーションに湧きいづる源泉は400余りと実に多く、多種多様な、8つの泉質が楽しめる貴重な温泉郷だ。湯めぐりチケットも人気。

伊達の隠し湯
作並温泉(宮城県仙台市)
宮城県と山形県を結ぶ関山街道、その県境にほど近い作並温泉。伊達家の隠し湯とも伝えられるこの湯は、1796年(寛政8年)の開湯以来、数々の文化人たちからも愛されてきた。泉質は肌に優しく、湯量豊富。各宿ごとにさまざまに工夫を凝らした湯舟が楽しめる。

蔵王山麓の温泉街
遠刈田温泉(宮城県蔵王町)
開湯400余年、古くから蔵王連峰への信仰登山の発着点として、また湯治場として親しまれてきた。やわらかい湯質は神経痛やリュウマチ、婦人病などに効用があり、「神の湯」「壽の湯」の2つの共同浴場や約30軒の宿、土産物や名物を商う店が軒を連ねる。


深層天然温泉を満喫!
南三陸・気仙沼温泉(宮城県南三陸町・気仙沼市)
南三陸町では地下2,000mから湧き出た深層天然温泉が楽しめ、気仙沼市では地下1,800mから湧き出たイオン濃度の高い深層天然温泉が楽しめる。気仙沼温泉は塩分濃度が高いため、体が浮く「浮遊浴」を体験できる。どちらも海に臨む眺望の良さが自慢。
〈気仙沼温泉〉施設により異なる(最寄駅)JR気仙沼駅

山奥の秘湯の宿
泥湯温泉(秋田県湯沢市)
秋田県と宮城県の県境近く、栗駒国定公園内の高松川上流に湧く泥湯温泉。開湯は約1200年前とされ、江戸時代から湯治場として愛された、歴史ある湯だ。通年営業の「奥山旅館」と冬季休業の「小椋旅館」の2軒があり、それぞれ源泉の異なる湯を3つの風呂で楽しめる。

八幡平の一軒宿
後生掛温泉(秋田県鹿角市)
標高1000mの八幡平国立公園に位置する創業100余年の一軒宿。「馬で来て足駄で帰る」と言われたほどの泉質を、「火山風呂」や「神恵痛の湯」、「泥風呂」、「打たせ湯」、「露天風呂」の他、「温泉蒸気サウナ風呂」や「箱蒸し風呂」など7つの温泉浴で堪能できる。

乳白色の湯につかる
乳頭温泉郷(秋田県仙北市)
十和田・八幡平国立公園の乳頭山山麓に点在する7つの湯、乳頭温泉郷。「鶴の湯」、「妙乃湯」、「黒湯」、「蟹場」、「孫六」、「大釜」、「休暇村」の七湯は独自に源泉を持ち、10種類以上の源泉がある。7つ全ての湯めぐりを行えば万病に効くと言われている。

吹き出る蒸気と熱気の迫力!
小安峡温泉(秋田県湯沢市)
皆瀬川の急流により、両岸が深く浸食されてできた小安峡谷。岩伝いの階段の先には遊歩道が続き、98℃の熱湯と蒸気が激しく噴出する「大噴湯」がある。春は新緑、秋は紅葉、そして冬は大きな「しがっこ」(つらら)を楽しむことができる。

湯量豊富な名湯
大湯温泉郷(秋田県鹿角市)
大湯温泉はおよそ800年前から、大湯川沿いに自然湧出した温泉。効能豊かな名湯で湯量も多く、江戸時代には南部藩の保養温泉地に指定。その後、十和田湖が国立公園となり、十和田に一番近い温泉地として人気を呼んでいる。

荒波と荒々しい断崖が魅力!
男鹿温泉郷(秋田県男鹿市)
日本海の荒波と、変化に富んだ断崖などの荒々しい景観が魅力。泉質は塩化物泉で、効能は切り傷、末梢循環障害、冷え症、皮膚乾燥症など保温効果が高く、美肌にも良いと言われている。

湯煙が町に漂う
蔵王温泉(山形県山形市)

全国でも有数、強酸性の硫黄泉が、肌や血管の若返りと殺菌効果に優れた美肌の湯として知られる。桜や高山植物に彩られる春、トレッキングや避暑を満喫する夏、紅葉の秋、スキーや樹氷を楽しむ冬と、四季折々のアクティビティにも恵まれている。

山深き湯治の里
肘折温泉(山形県大蔵村)
開湯より1200年、湯量豊富にして霊験あらたかな湯治場として愛される肘折温泉。20軒の宿はどこも源泉かけ流しで、それぞれに異なる色や入浴感を味わえる。4月~11月の間、毎日開催される朝市では、地元のお母さんたちが持ち込む旬の食材がずらり。浴衣に下駄履きで散策できる気軽さも魅力の一つ。

大正ロマンな温泉街
銀山温泉(山形県尾花沢市)
江戸初期に大銀山として栄えた「延沢銀山」に由来。大正末期・昭和初期に建てられた洋風木造多層の旅館が今なお軒を連ね、郷愁あふれる風景を醸し出している。細かな湯花が混じる湯と、名物の「カリーパン」や「とうふ」を片手に街歩きを楽しみたい。

バラの足湯で至福の時間
あつみ温泉(山形県鶴岡市)

バラ園でも有名なあつみ温泉には3つの足湯があり、DC特別企画としてバラの見頃の6月に「バラの足湯」を楽しめる。夜にはライトアップされる足湯もあり、光に浮かぶ色鮮やかなバラと香りに包まれて、至福のひと時を満喫できる。
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姥湯温泉
個性あふれる名湯・秘湯
米沢八湯(山形県米沢市)
山形県米沢市には、どこか懐かしい里山の湯から、険しい山道の先にある秘湯中の秘湯まで、個性に溢れた八つの温泉が湧いている。お湯の温度や泉質も多様な名湯揃いで、周囲に広がる四季折々の表情は、そこに行かなければ味わえないものばかり。

名湯と街歩きが人気!
赤湯温泉(山形県南陽市・長井市・白鷹町)
開湯920余年の歴史を誇る赤湯温泉は、傷ついた兵士らが体を湯に浸したところ、たちどころに傷が治ったという名湯。その際、お湯が血で真っ赤に染まったことが、温泉名の由来と伝わる。ワイナリーや人気ラーメン店なども豊富で、街歩きも楽しみな温泉地。

源泉100%を宣言
高湯温泉(福島県福島市)
「一切の鳴り物を禁ず」というしきたりの残る、吾妻連峰の原生林に抱かれた静かな湯治場・高湯温泉。9つの源泉から神経痛や糖尿病、アトピー性皮膚炎などに効能がある硫黄泉が引かれ、どの宿の湯舟もすべて源泉かけ流し。不動滝や吾妻小富士など名所も多い。

会津観光の拠点に
東山温泉(福島県会津若松市)
会津若松の奥座敷、東山温泉。竹久夢二や与謝野晶子などの文人墨客にも愛された湯の街は、鶴ヶ城や飯盛山、会津武家屋敷など会津観光を楽しむ拠点としても優秀。さらさらの肌ざわりが心地よい硫酸塩泉で旅の疲れをほぐしつつ、会津郷土料理の数々を楽しみたい。

「和」と「フラ」のおもてなし
いわき湯本温泉(福島県いわき市)
「三箱の御湯」と呼ばれ、道後、有馬とともに日本三古泉のひとつに数えられる古湯。毎分5トンという豊富な湯量を誇り、「美人の湯」として愛されている。着物でフラを踊る「フラ女将」によるおもてなしと新鮮な海の幸を楽しむことができる人気の温泉郷だ。

女性に大人気の美肌の湯
磐梯熱海温泉(福島県郡山市)
磐梯熱海温泉は「美肌の湯」として知られ、弱アルカリ性で肌触りがさらりと軽いのが特徴。温泉街にはグルメや見どころも多く、街歩きも人気。猪苗代湖や磐梯山などの観光スポットが近い事もあって1年中多くの観光客で賑わっている。
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